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2019年6月 9日 (日)

『大阪弁おもしろ草子』「ちちくる」を読んで その7

肩車のことを「ちちくま」と呼んでいた(p.34)時代があるようだ。

乳なのか父なのか。たぶん、乳で乳車、ちちくるま>ちちくまだろう。

 

連濁というのは、まあまあ新しいものである。

近代は、辞書の見出し語が清音が主で連濁は清音の見出し語に飛ぶという指示が結構あったので。

 

肩ではなく、乳。田辺さんが淫風の感をまぬかれない(p.34)というのも分からなくはない。

膝枕を腿枕とするより、もっと生々しい。

 

『日本言語地図』では、かたくまであった。

1966~1974刊行で、被調査者は主に明治生まれ。

 

1960年ごろに60歳以上となっている人々が対象。

和歌山にはくびうま、兵庫北部ではくびぐるまなどがあるが、この地図には乳はなかった。

 

それ以外の近畿は、ほぼ全域でかたくま。

となると、ちちくまはもっと古い語形のはずである。

 

田辺さんが、1928(昭和3)年生まれ。

当時の被調査者は、30歳ぐらい上の人たち。

 

その人たちが、かたうまであったのだから、ちちうまはもっと古いという推定はあっているだろう。

明治の早い生まれの人たちが言っていたのかもしれない。

 

牧村史陽氏は「子どもを肩車にのせると、その両足が丁度乗せている者の乳のところに当る。乳車の名の起こったゆえんであろう(p.34)」と記しているが、この語源説は容易に想像できる。

 

牧村さんは1898(明治31)年生まれ。『日本言語地図』の被調査者と同世代。

だから、聞いた方言形はこの世代より上の人たちと、想像できるのである。

 

 

 

「ちちくま」のアクセントは、LLLH。

「ちちぐるま」は、LLHLL。

 

「かたくま」は、LLLH。

「かたぐるま」は、LLHLL。

 

 

 

その7につづく。

 

 

 

 

 

 

 

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