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2018年4月 2日 (月)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「てんか」を読んで その4

尤も、下品な言葉になると、男性だけが使うものに「じゃ」とか「どォ」などというのがあり、
「お前、何じゃ。そんなことしてええ、思とんかッ!」(p.225)


男だけかどうかは、断言できない。本文では「いかに怖い姐さんでも「じゃ」は使わない」とあるが、疑わしい。
ただ、男勝りなのか男っぽくなのか、単にガラが悪いだけなのか、少数派ながらいないわけではないと思う。

「じゃ」は大阪市内より西に行けば行くほど増える。姫路あたりから「や」は「じゃ」になるので。
また、摂津方言より南だと、直感なんだが女性の「じゃ」は増えるかもしれない。

他に「どォ」の例として、ケンカ出入りの際の「撲ッ倒されッどォ」(p.255)が挙げられている。
これは少なくとも私は使わない。じゃりン子チエよりミナミの帝王の大阪弁っぽい。


男性専用語尾には、このほかに、「わい」がある。これは大阪の鉄火コトバで、むろん志操高雅な士君子は使わない。長屋のオバハンなんぞが、ナマケモノの亭主を早く仕事に出そうとして尻を叩く、そういうときの返事として牧村史陽氏の用例によれば、
「やかまし言はんかて、今いくわい」(「大阪方言辞典」)
などと用いる。(pp.225-226)


使わない私が志操高雅な士君子であることは言うまでもない。
私の世代だと「わい」は使わないような気がするが。

なお、「わいな」のように「な」がつけば女も使えるとのこと。(p.226)
「わいな」は聞いたことがあるかもしれないが、記憶がない。少なくとも同世代のことばではない。


男「あいつ、女房(よめはん)居るねんで。知らんねんな」
女「知ってるわいな。知ってるけど、惚れたんやからしょうないやないかいな、ほっといてんか」(p.226)


大阪弁の語尾満載である。




「お前、何じゃ。そんなことしてええ、思とんかッ!」

「お前」のアクセントは、LLH。「何じゃ」は、LLH。
「そんなことして」は、HHHHL HL。「ええ」は、LH。「おもとんか」は、HHHLL。


「撲ッ倒されッどォ」

「はったおされる」は、HHHHHHH。
「張る」は、HH。「倒す」は、HHH。
「はったおされっどー」は、HHHHHHHLL。


「やかまし言はんかて、今いくわい」

「やかまし」は、HHHL。
「言わん」は、「HHH」。「言う」は、HH。「言わんかて」は、HHHHL。
「今」は、LH。「行く」は、HH。「行くわい」は、HHLL。
「今いくわい」は、LLHHLL。


「あいつ、女房(よめはん)居るねんで。知らんねんな」

「あいつ」は、LLH。「よめはん」は、HHHH。「おる」は、HL。
「おるねんで」は、HLLLL(文末に強調上昇調があることも)。
「知らん」は、HHH。「知る」は、HH。
「知らんねんな」は、HHHLLH。


「知ってるわいな。知ってるけど、惚れたんやからしょうないやないかいな、ほっといてんか」

「知ってる」は、LLLH。「知ってるわいな」は、LLLHLLL。「知ってるけど」は、LLLHLL。
「惚れる」は、HHH。「惚れた」は、HLL。「惚れたんやから」は、HLLLLLL。
「しょうない」は、HHLL。「しょうないやないかいな」は、HHLLL LLHLL。
「ほっとく」は、HHHH。「ほっといてんか」は、HHHHHHH。



その5につづく。



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