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2018年2月 3日 (土)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「サン」と「ハン」を読んで その2

「サン」と「ハン」が子音調和に基づくと書いたが、例外が多い。
音韻規則だけでは説明できないところにややこしさがある。

福田サン、田中サンは福田ハン、田中サン(p.213)と言い換えられる。
人の名字や名前なら置換してもかまわないので、中井ハン、大江ハンでも私は違和感がない。

ただ、私にとっては「嫁はん」以外は、使用語彙ではない。
だから、使うかどうかは別にして、聞いて違和感がないということになる。

皇族に「ハン」が使えないように、神仏にも「ハン」は使えない(p.213)。
「神ハン」「仏ハン」は信仰するか否かを抜きにしても、いくらなんでも敬意がなさ過ぎて無理。


「戎サン(エベッサン)」を「エビスハン」とよばない。「天神サン」「生國魂(イクタマ)サン」「弁天サン」「不動サン」みなしかりである。「住吉サン(スミヨッサン)」「愛染(アイゼン)サン」など、まちがっても転訛しない。(p.213)


「旦那サン」を「旦那ハン」と言わない(p.213)というのは、少し話が変わってくる。
縮約形の「ダンサン」も「ダンハン」とは言わない(p.214)。

ただ、本人に直接呼びかけるのではなく、裏で何かをいう時には使ってもかまわないと考えられる。
この点は、香村菊雄「船場物語」の引用で同様の指摘がある。

「御寮人(ゴリョン)サン」「お家(オエ)サン」「イトサン」も本人に呼びかける時は「ハン」にはならない(p.214)。
なお、「お家ハン」ならびに「イトハン」を「イトチャン」(p.214)と言うのは、はじめて知った。



「福田」のアクセントは、LLH。
「福田さん」は、LLLHH。「福田はん」は、LLLLH。

「田中」のアクセントは、LHL~LLH。
「田中さん」は、LHLLL~LLLLH。「田中はん」は、LHLLL~LLLLH。

「中井」は、LLH。
「大江」は、LLH。

「神」は、HL。「神さん」は、HLLL。
「仏」は、HHH。「仏さん」は、HHHHH。

「戎」は、HHH。「戎サン(エベッサン)」は、HHHHH。
「天神」は、LLLH。「天神サン」は、LLLLLH。
「生國魂」は、LLLH。「生國魂(イクタマ)サン」は、LLLLLH。
「弁天」は、HHHH。「弁天サン」は、HHHHHH。
「不動」は、HLL。「不動サン」は、HLLLL。
「住吉」は、HLLL。「住吉サン(スミヨッサン)」は、HLLLLL。
「愛染」は、HHHH。「愛染(アイゼン)サン」は、HHHHHH。

「旦那」は、LLH。「旦那さん」は、LLLLH。「だんさん」は、LLLH。

「御寮人(ゴリョン)サン」は、HLLLL。「ゴリョーハン」は、HLLLL。
「お家(オエ)サン」は、LHLL。
「イトサン」は、LHLL。「イトハン」は、LHLL。「イトチャン」は、LHLL。



その3につづく。



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