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2017年8月 5日 (土)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「ウダウダ」を読んで その3

「すっかり」に似ている「すっくり」があるという。
「すっかり」より意味が強く、あらいざらい、根こそぎのような意味(p.189)があるらしい。

らしいと書いてる時点で言うまでもないが、使用語彙ではない。
理解できるかどうかは、以下の会話の引用で考えてみる。


京は三条の鴨川のお茶屋(中略)おかみさんが河原を見たら
「目ェの下にアベックがいやはって」
愛の行為をやったはるのが、
「すっくり、見えましたわ」(p.189)


頭にはてながとびかっている。
この「すっくり」は思わず「ホンマに大阪弁か」て聞いてしまうかもしれない。

なまじ共通語にもありそうな語形なんで、余計に。
一部始終という意味になるんだが、ここで「すっかり」があわないのは分かる。

「すっかり忘れていた」はOKだが、「すっくり忘れていた」はNG(p.189)。
こういう内省を示されると、この2つの語の用法が違うことが分かる。

「すっくり忘れた」ではなく、「ころッと忘れた(p.189)」。
これはさすがに私の世代でも使うし、もはや共通語ではないかと思う。

盗まれるときは「ころっと盗まれた」では、可愛すぎて使えない。
こういう時は「ごそっと盗まれた(p.190)」があう。

いずれも「根こそぎ」なのかもしれないが、「全部」だと範囲が広すぎる。
「全部」の多義性を分解する必要がある。

一部始終見えた ○すっくり ?すっかり
これは内省がきかないのだが、時間をふまえた全体ということか。

覚えておくべきことをを忘れた  ○ころっと ○すっかり ×すっくり
「すっかり忘れた」だが、私の内省だと「ころっと忘れてた」「ころっと忘れてしもた」で単純なタ形は無理。

根こそぎ盗まれた ○ごそっと ?ころっと ×すっかり、すっくり
金庫の中の金を自分で使い切ったら「すっかり」、全部盗まれたら「ごそっと」。

「ごそっと盗まれた」は、実際に大金を盗まれた時が基本だろう。
大した金もないのに「ごそっと」は見栄を張っているだけである。



「すっくり」のアクセントは、LLHL。
「すっかり」がLLHLなので、これと同じだと類推。

「ころっと」はHLLL。
「ごそっと」はLHLLあるいはLHHL。



その4につづく。




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