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2017年5月18日 (木)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「ぼろくち」を読んで その3

襤褸(ぼろ、らんる)は古びた布きれを指す。
「ぼろい」は「襤褸」の形容詞化だろう。

あるいは、形容詞の語幹用法か?
これは古典文献をちゃんと読んで用例を調べないと、言い切れない。

それはひとまずおいといて、「ぼろくち」は派生語だろう。
ただ、先に「ぼろもうけ」があるように思える。

「ぼろもうけ」+「もうけぐち」、あるいは「ぼろいもうけぐち」の縮約だろうか。
意味の派生については、以下の考察が興味深い。


「使ひ古した役に立たぬ衣服や布きれをボロ(襤褸)といひ、その破れたさまをボロボロといふが、さうした役に立たぬやうなものを高価に売り込むところから、”ぼろい儲け”などといふ語が生じたのではあるまいか」(p.180『大阪方言辞典』より)


まんざら外れた考察ではないと思う。
例えば、大辞林第3版で「ぼろい」については

①元手や労力をあまり使わずに大きな利益があがる。非常に割がよい。 「 - ・い儲もうけ」
②俗に、古くて壊れかけているさまをいう語。 「 - ・いビル」

とあるが、これは②が先で、①が派生だと思うのだが。
「ぼろ」から派生した「ぼろぼろ」は②の意味でしかないわけだし。

さて、語源は仮にそうであったとしても、現実には「すごい」「おいしい」「やばい」に置換されて使えると思われる。
なので、「ぼろ」は接頭辞化しており、後項を強調する用法となっている気がする。

「ボロ勝ち」(p.180)は、これに該当すると思う。
一方で、「ボロ買い」(p.181)は「大量買い」なら前者だが、「安物買い」なら元の意味を維持していると解釈できる。


「安物買いの銭失い、安物買いの鼻落とし」(p.181)


田辺聖子さんは、前者は意義分明、後者は因果関係が分からないとのこと。同感である。
鼻が落ちるの代表的なのは梅毒だが、今では薬のおかげでそこまではいかないようだし。



「ぼろ」のアクセントは、LH。
「ぼろい」は、HLL。

「ぼろもうけ」は、LLLLH。
「もうけぐち」は、HHHLL。

「ボロ勝ち」は、LLLH。「勝つ」は、LH。
「ボロ買い」は、LLLH。「買う」は、HH。

「安物買い」は、LLLLLLH。「やすもの」はLLLH。
「銭失い」は、LLHLLL。「ぜに」は、LH。「失う」は、HHHH。
「鼻落とし」は、HHHLL。「鼻」は、HH。「落とす」は、HHH。


その4につづく。




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