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2017年4月23日 (日)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「あかめつる」を読んで その3

私の愛好する大阪弁に、「スカ」というのがある(スカタンもここから出ている)。
スカというのは透きから出ていて、あてはずれ、期待はずれ、くいちがい、破約、空虚などの意味を含む。(p.166)


私の内省ではそのような状況、状態でも使わなくないが、人に使う方が多い。
ただ、そこまで可愛げのあるタイプには最近出会ってないような気がする。

スカタンだと、それほどマイナスな意味ではない。
ちょっととぼけたぐらいのミスに使うことが多い。

「スカ屁(p.167)」は使わない。すかしっ屁(スカシッペ)の方が使う。
直感的にすかしっ屁の方が、語形は関東方言のような気がする。

ただ、こういった直接的な表現は大阪弁の方が起こりやすいかと。
「透かす」の語幹+「屁」の「スカ屁」が、連用形+「屁」で促音が挿入された変化だろうか。

駄菓子屋の当てもんの話がp.167に出てくるが、ハズレくじのことをスカという。
これはあてはずれや期待はずれからの派生用法だろう。

外れた状況に対して「スカ」と言ってるのではなく、ハズレくじそのものを「スカ」というので。
「うわっ、スカ引いてしもた」のように。

「スカみたいな奴(p.168)」は派生語としてのスカを再び人に用いた用法。
どんな奴をこの例として用いたのかは以下の通り。


 あるときの正月、若い衆が年始回りにやってきた。中小メーカーの下っ端だろう。
 誰も知らない顔だった。
 ごくわかい男で、影のうすい、オドオドした若い衆である。彼は入口でモジモジしてオーバーを脱いだ。(中略)
 門口で真っ赤になってボソボソといい、蚊の鳴くような声で誰にも聞きとれない。みんな呆れて、じっと見ている。若い衆は泣き出しそうな顔でぺこんとお辞儀して、オーバーを抱えたまま店をとび出した。
「あれでも年始まわりかいな」
 とどっと、一同笑い、大将は、
「どこの若い衆や」
「○○アルミちゃいまっか」
「いや、××軽金属ときこえましたで」
「スカみたいな奴ちゃなあ」
とみなみな、腹を抱えて大笑いになった。(pp.169-171)


営業マンだと元気がいい方がいいんだろう。
でも、元気が良すぎるのは逆に疲れる。

芸人がテレビで元気よく張り芸をやってるのはいい。それは芸の一つだからおもしろい。
一方で、例えば職場で明るく元気にはしゃいでるのは、生理的に受け付けない。

子どもは多少諦めるが、大人だとできればかかわりを持ちたくない。
そういう大人は、子どもよりたちが悪い。

私にとっては、そういう奴もスカみたいな奴。スカタンよりスカみたいな奴の方がマイナスの度合いが強い。
そして、そのスカは空虚レベルではない。元気であっても、ただのはずれくじなので。

破約の用法としては「スカくらう」(p.171)。待ち合わせですっぽかされた時に使う。
私は今は使っていないが、十分に理解できる表現。

スカみたいな奴とは、できるだけスカくらわしたいと思うのは私だけ?
顔をあわせてスカみたいな気分になるのは、ストレスがたまるだけなので。



「スカ」のアクセントは、LH。
「スカタン」は、LLHL。

「スカ屁」は、LLH。
「すかしっ屁」は、LLHLL。

「スカ引いてしもた」は、LH HHHHLL。
「スカみたいな奴」は、LHLLLL HL。
「スカくらう」は、LH HHH。



この章終わり。





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