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2017年3月 8日 (水)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「あんだらめ」を読んで その3

その1に「あんだらめ」は「あほんだらめ」の「ほ」の弱化と書いた。
ただ、『大辞林』を見てると、「あの道楽(ドラ)」の縮約形も考えられる。

「 -めには拳一つあてずほたえさせ/浄瑠璃・油地獄 中」
とあるので、割と古くから「あんだらめ」は使われているようだ。

また、「阿呆陀羅経」という滑稽話が江戸中期にあるので「あほ(ん)だら」が江戸時代にあったとも考えられる。
それだと、弱化説も否定できない。

共時的に考えれば「ほ」の弱化ですむが、通時的に考えるとどちらか特定しきれない。
その当時の弱化に関する文献資料でもあれば分かるのだが。



さて、p.146に罵詈讒謗の言葉として、「~くさる」「~さらす」「~けつかる」「~こます」が挙げられている。
例をもとに内省してみたい。

「なに吠たえくさる、このあま(p.146)」は理解できるが使わない。
「なにしくさってる」が基本用法だろうが、私の内省ではなじみがない。

「何さらしてけつかんねん(p.147)」は「~さらす」と「~けつかる」の2つが入ってる。
子どもの頃、「けつかる」という語彙が頭になかったので、「何言うてけつかんでんねん」と言っていた。


「出ていきさらせ」
と男は女にいい、女が荷物をまとめて出ようとすると、
「このドアホ、どこへいきさらす」
と引きとめてやらず、女はマゴマゴし、男はさらに
「何をボヤボヤしくさる、さっさとメシでもたきやがれ」
などどいうのである。(p.147)


さすが田辺聖子さん。展開が面白い。昭和の男と女って感じが際立ってる。
私はもはや平成人間なので、共感できても使うことはないだろう。

「いうてこましたった(p.147)」「どついてこました(p.148)」は私は聞いたことがない。
「~こます」は「いてこます」がすぐに思い浮かぶぐらい。

ただ、喧嘩に向かない私は、相手をいてこますことはできない。
この場合の「~こます」は「完膚なきまでやっつける(p.149)」があってる。

この「こます」は、「張り手をかます」の「かます」の音韻変化ではないだろうか。
暴力的に相手に仕掛けるという意味合いでなら、合っている。

「はったりをかます」の場合、暴力的ではない。
何か仕掛けてはいるが、だまして落とす方向に向かっている。

なので、「スケコマシ(p.149)」は、「かます>こます」が後部要素であろう。
前部要素は「好き>すけ」ではないかと考えている。

「すけべ」の「すけ」も「好き」から来ているので、そう考えることができるだろう。
「(女に)好きをかます」ことで、たらしこんでいるのではないかと思う。

この解釈が「すけこまし」の語源として適切かどうかは今後の検証が必要であるが、そんなにおかしいとは思っていない。




「吠たえくさる」のアクセントは、HHHHHH。
「しくさってる」は、HHHHHH。

「なに さらして けつかんねん」は、LH HHHH HLLLLL。
「け」の後に下がり目。
なので、「言うて けつかんねん」は、HHH HLLLLL。
「言うて けつ かんでんねん」は、HHH HL LLHLLL。

「出ていきさらせ」は、HHHHHHL。
「いきさらす」は、HHHHH。
終止形は高平、命令形は「ら」の後に下がり目。

「いてこます」は、HHHHH。
「張り手」はLLH、「はったり」はLLLH。
「かます」は、HHH。
「スケコマシ」は、LLLLH。

本文でふれてないが、「尻」はHL、「おいど(p.148)」はLHL。


この章、終わり。








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