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2016年9月 1日 (木)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「あんばい」を読んで その1

「あんばい」pp.85-95

「いきます/いきません」に対して、「いきま/いきまへん」という大阪弁がある。
私の中では、最近使ってないけど、全く使わないわけではない表現である。


大阪弁はあいまいで、肯定か否定か、ようわからん、と叱られることが多い。(p.85)


その例として「いきま」を挙げているのだが、これは一度慣れればというレベルで、決してあいまいではない。否定をいう時にはさすがに否定・打消しの接辞を省かないから。

また、共通語では「いきます/いきません」は「いきま」まで聞けば、最後まで聞かなくても分かる。これは1993年の日本言語学会で荻野綱男先生が発表されている

「いきます」は「ま」の後ろにアクセントの下がり目があり、「いきません」は「せ」の後ろにアクセントの下がり目があるが、それだけでなくイントネーションでも区別できるというもの。

この頃の発表は予稿集がないので、当時のレジュメを保存していなければ、詳細を確認できない。ただ、学生相手に追験をやったので、かなりの確率で識別できること自体は正しい。

大阪弁の「いきま/いきまへん」は、「いきま」なら「ま」が「いきまへん」の「ま」に比べたら、やや強めに聞こえる。その音声特徴(専門用語でプロソディ―)で分かるので、決してあいまいなものではない。

確かに共通語から考えれば、「~ます」と言ってもらいたいところだが、共通語の「~ます」は「mas」であって、「す」の母音は脱落している。そのうえ子音も脱落すれば「~ま」。

「~ません」の「ん」も、「ぬ」の母音が脱落したもの。
だから、こういったことばの変化は全く不自然ではない。

ことばの変化としては、大阪弁の方が最先端の形になっているだけのこと。
そこについてこれないのは共通語の呪縛にとらわれているからである。

ただ、慣れていなければ、なかなかなじめない。
そして、正しいと思うものを好む人は、嫌いなものを正しくないと思う。

それはある意味仕方ない。
人はそんなに客観的に物事をみる生き物ではないから、仕方ない。

ただ、大阪弁側から見れば、千歩譲っても大阪弁がおかしいとは思えない。
だから、「これは大阪人がワルイ(p.86)」と大阪人は思っていないはずである。




「あんばい」のアクセントは、HHHH。





その2につづく。


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