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2016年5月

2016年5月22日 (日)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「チョネチョネ」を読んで その4

さて、チョネチョネは使わないという話を書いてきた。
チョメチョメを「(い)やらしい」という意味でも使わない。

では、「やらしい」はどう使うか。エロい、すけべえ、好色などに使われる用法がある。
性的嫌悪感は必須ではないと考える。

私はその用法はあまり。特に「いやらしい」というように「い」をつけた時は、エロに対する表現でなくなる。
人としてなってない奴に対して使うが、それでもそんなに使わない。

「やらしいやっちゃな」は金に汚い奴に使う。
それは「せこい」や「ケチ」程度ではなく、明らかな不正行為や汚職を行う奴に対して。

だから、寝起きをぐずる子供(p.59)には使わない。
「いやらしいなあ、こんな小さい卵25円やて」(p.60)は、女性が使うように思える。

完全に女言葉になっているとは思わないが、男はそんなにしょっちゅう発しないと思う。
着物に対して「いやらしいわ、その柄」(p.61)も、男はほとんど言わないと思う。

なんか言うたら「いやらしいわあ」というのは、女性の相槌みたいなもん。
これを真に受けてたら、自身はとんでもない変態扱いされていると勘違いしてしまう。

「なんか、嫌や」程度に解釈しておくのが無難である。
ただし、周りがこの用法を知らずに勘違いした場合はどうにもならないだろう。

最近の女の子が使っているかどうかは、大阪に行ってみないと分からない。
ただ、私の印象では、なんかおばはんくさい言い方である。




「いやらしい」のアクセントはHHHLL、「やらしい」のアクセントは「HHLL」。
大阪弁は名詞のアクセントはややこしいが、形容詞のアクセントは-3型しかない。

追記

近世以来の女言葉として「いやらしやの」があるそうだが、私は聞いたことがない。
私の祖母は北海道生まれなので、大正生まれの女性の大阪弁はあまり耳にしていない。



この章、終わり。





2016年5月10日 (火)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「チョネチョネ」を読んで その3

卑猥度では、チョネチョネ>ネチャネチャ>イチャイチャになるとのこと。
その1に書いたように、イチャイチャ以外は使わないので、内省がきかない。

ただ、ネチャネチャの方がチョネチョネより、どっぷりという感じがするんだが。
p,56に書いてある、それぞれの程度を引用しておく。


「イチャイチャというのは、まあ、子供が押しくらまんじゅうするみたいな感じ、おもに目と目で挑み合い、会話で妄談褻語をたのしむ、上半身の痴態ですなあ」
「ではネチョネチョは」
「上半身でもまん中のあたりをさわったりして。つまり、オッパイやなんか」
「すると、チョネチョネは」
「やはりヘビー級といいますか、あと残った部分ではありませんかな」


こう聞いても、やはりネチョネチョはそれこそえげつないぐらいのやらしさと捉えてしまう。
ネチョネチョに比べたらチョネチョネの方が、若干かわいらしさがある。やらしいけど。

後輩から聞いた話で、『893愚連隊』という映画のクライマックスで荒木一郎さんが「イキがったらあかん。ネチョネチョ生きるこっちゃ」と言うシーンがあるとのこと。

『893愚連隊』は京都の話なので、荒木一郎さんは東京出身だが、セリフは京都弁に準じている。1966年公開なんで、古くからある言い方である。

さて、この「ネチョネチョ」は、まさか「エロく生きろ」というメッセージではあるまい。
「泥道でも地に足ついて生きていけ」と翻訳できる。

ここではエロで用いていないが、「ネチョネチョ」はの響きは、湿地が関わっていないと、出にくい音ではないかと。それも糸を引くような感じで。

だから、その擬音性から、えげつないぐらいのやらしさを想像してしまうのだが。
「チョネチョネ」は擬音というよりは擬態なんで、そこまで感じないのだと思う。

ただ、ともにイチャイチャより卑猥であるというのは、直感で分かる。
街中でイチャイチャは笑えるが、チョネチョネは笑えないんで。




チョネチョネのアクセントは、HLLL。これはチョメチョメでも同様。
イチャイチャもHLLL。これらと並行するなら、ネチョネチョはHLLL。

ただ、糸を引く感じのネチョネチョはLLLH。
えげつないぐらいやらしいのはLLLHで、HLLLならそうでもないかも。




【追記】
チョネチョネは、そういう味である。 p.57より引用

 上方歌舞伎の世話物なんかでも、かなりエロティックな場面が多く、そのエロ味は、どうも今どきのポルノ映画や小説とは一味ちがい、ねッとりして、納豆のように糸を引く、重いねばりがある。おそろしく甘いものを無理強いに食べさされたような、胸にもたれる味である。








2016年5月 9日 (月)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「チョネチョネ」を読んで その2

「チョネチョネ」でなく、「チョメチョメ」ならアイ・アイゲームでの山城新伍さん発信。
彼が言うから、いやらしい方の意味を含んでいると考えられる。

「ちょめちょめ」の起源は、楳図かずおさんの『まことちゃん』という説がある。
それはその形式だけなら、そうかもしれない。ただし、検討の余地がある。

「マッチョメ」は、筋肉がダメという意味なんで「マッチョ+メ」。[注1]
「ちょめちょめ ぐにゅぐにゅ」は顔をつねる際の擬態語。

しかし、アイ・アイゲームでの用法は、意味深にクイズの空欄を隠す用法。
「チョネチョネ」のやらしさは少しだけ残しつつ、「隠す」という意味に特化させた。

となると、この両者は同じ形式だが、『まことちゃん』が起源と言えるのかどうか。
私はそうではないという説を提案しておきたい。

単純に「柿」と「垣」、「牡蠣」と「下記」は同一語源とは言えないだろうというところから。
「火」と「日」なら考えられなくもないが、「碑」とは違うやろうという直感から。

なお、『まことちゃん』において、空欄隠しや隠語としての用法が先にあるのなら、簡単に手のひらを返して、同一起源と認める。[注2]

ただし、山城新伍さんがすでに鬼籍に入っているので、その用法を借用したのか否か、あるいは大阪弁にもともとあった隠語を用いたのかは確認できない。

もし、後者で「チョネチョネ>チョメチョメ」の形で借用したとすれば、やはり『まことちゃん』起源説は否定されることになる。

今のところ、真実は当時の関係者にでも聞かない限り分からない。
ただ、『大阪弁ちゃらんぽらん』は昭和53年刊行なので、大阪弁借用説があってると思うのだが。

今考えている私の仮説は、以下のとおりである。

(1) 「山城系ちょめちょめ」は、「まことちゃん系ちょめちょめ」起源ではない。

(2) 京都出身の山城さんは、「大阪弁系ちょねちょね」を知っており、「山城系ちょめちょめ」の起源は「大阪弁系ちょねちょね」である。ただし、音韻変化が大阪と京都の方言差なのかどうかは分からない。

(3) 山城さんは、アイ・アイゲームで(ちょねちょね>)ちょめちょめをテレビ用にエロの意味は排して、「隠しごと」という意味を空欄隠しに援用した。





[注1] ここでの「メ」は大人が子供に注意するときの「メッ」だと推測する。
最近は、ドラマ『スミカスミレ』で桐谷美玲さんがやってたのがかいらしかった。

[注2] 楳図かずおさんは和歌山生まれ奈良育ちなんで、「ちょねちょね」を隠語として用いたのなら、もともと方言として持っていたと仮定できる。


【追記】

大阪弁系チョネチョネから、まことちゃん系と山城系の2つが新たに派生したという仮定もできる。そうであれば、両者は同じ語族に属していると言えなくもない。
              













2016年5月 1日 (日)

『大阪弁ちゃらんぽらん』「チョネチョネ」を読んで その1

「チョネチョネ」pp.52-62

原文によるとイチャイチャよりも意味がえげつないとのこと。
濃厚、卑猥、淫靡な語彙とのこと。(pp.52-53)

「とかく、大阪人というのは、下品な感覚に於ても、世界に冠たるものである(p.53)」とまで言われている。
しかし、この語彙は昔から使われている語彙ではないのである。

私の記憶が確かならば、「チョネチョネ」じゃなく「チョメチョメ」。
流行らせたのは、山城新伍さんがテレビ番組『アイ・アイゲーム』で。昭和50年代後半。

空欄補充のクイズを答えさせる時に、問題文の空欄部分を「チョメチョメ」と言っていた。
時々いやらしさは感じた。その部分が時に下ネタだったからかもしれない。

だから、はじめは空欄補充、そこから派生して下ネタ。
私の記憶が確かなら、そうなんだが。それ以前に流布していなかったとすれば。

さて、原文の例文を引用してみる。

(1) 何やいな、もう……そんなとこでチョネチョネしてられたら、かなわんがな。(p.53)
(2) 物置でチョネチョネしとったら、そこへ戸ォあけて亭主はいって来よってん、えらいこっちゃった(p.53)

あまりに直球。これはエロ過ぎ。

(3) そうチョネチョネするな、いやらしな、もう……(pp.53-54)

子どもにものを食わせるなら言わないが、女が男にやったら(3)になる。

(4) オイオイ、もう、ほんまに、そこチョネチョネするな、目の毒やないかいな(p.54)

男が女に飲ませようと、差しつ差されつやってる相手に言うのが(4)。たぶん嫌がってるんやろうけど、なんかやらしく見える。昭和やのうとしみじみ。

(5) こらっ、チョネチョネすんな!(p.54)

チョネチョネは(5)のように怒鳴る時には使えないとのこと。
でも、イチャイチャやと怒鳴れる気がする。

まず、私の内省では、卑猥さにチョメチョメもチョネチョネも使わない。
チョメチョメを言う時は、山城新伍さんのものまねネタでしかない。

これまでの例でも、私はせいぜいイチャイチャ。
イチャイチャより度合いがひどいのをネチャネチャとは言わない。

大阪にいた時でも、私の記憶が確かならば、この手の用法は聞いたことがなかった。
イチャイチャが東京弁で、チョネチョネが大阪弁(p.56)といわれても、すっと入ってこない。

今回の「チョネチョネ」話は、内省がきかないまま、しばらく進んでいくことになりそうだ。













『大阪弁ちゃらんぽらん』「あかん」と「わや」を読んで 補遺1

終わったはずだが、また書き足す。
「あかん」について少しだけ。

その3で「あかんかった」という形を示したが、「あかん」は部分的に形容詞の活用をする。
「あかぬ>あかん」なんだが、現在語の「ない」に引きずられて活用する。

「あかんかった」「あかんかって」は問題なく言える。
「あかんかって」は完了を連用形でも言える大阪弁。

「あかんかろう」「あかんくて」「あかんくない」は理解できるが、私の使用語彙ではない。
直感では摂津方言ではないと思う[注]が、実態は調査結果を見ないと分からない。

「あかんければ」は、聞いたことがないし、全く使わない。
ここまで活用するようになっているかも、調査報告を見ないと分からない。










[注] 経験則では兵庫出身から聞いた記憶がある。






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